子育て

【完全網羅】子どもを褒めるときのポイント! 役立つ褒め方10カ条

なぜ褒めることが必要なのでしょうか?

行動には、「褒められたり嬉しいことがあると今後もその行動は繰り返される」という法則があります。

その法則を利用して、わたしたち大人は子どもが望ましい行動をしたときに褒めることで、今後もその望ましい行動が繰り返されていくことを期待します。

つまり、将来に渡って子どもが望ましい行動を身につけられるように「褒める」という方法を用いるのです。

褒めることを上手に行うことができると、子どもに望ましい行動を身につけてもらうことができます

子どもは、どのようなことをすれば自分は褒められて(周りから注目されて)、逆になにをしてはいけないのかを学ぶこともできます

今回は、子どもを褒める際のポイントを10カ条としてお伝えしましょう。

褒め方10カ条の紹介

「褒める」とは、子どもが望ましい行動をしたときに大人が子どもに対してすることです。

望ましいこと、好ましいこと、やってくれて嬉しいと感じたことには積極的に褒めてあげてください。

子どもを褒める際のポイントを10個まとめている。

① 本心から褒める

「褒める」ということは、「おだてる」「お世辞を言う」「甘やかす」ことと全く違います

子どもは、何かをできたときには「できた!」という成功感や達成感を感じていることが多いです。

子どもと同じ気持ちになって、「できたね!」「えらかったね」「がんばったね」と伝えてあげましょう。

大人から見た場合にどんなにささいなことだと思っても、できたということは、その子どもにとっては素晴らしいことです。

大げさに伝える必要はありません。お世辞やご機嫌とりとも違います。

「できたね」という気持ちを伝えてあげてください

それを続けているうちに、最初は言葉で伝えていたことが、子どもの方を見てうなずいたり目で合図するだけで十分効果があるようになっていくでしょう。

② 褒めるときの表情・姿勢

当然の内容ではありますが、子どもを褒める際には①にこやかな表情で、②相手の目を見ながら優しい目線で、③穏やかな口調で伝えましょう。

無表情で褒める人はそんなにいないと思いますが、「するんだったら早くしてくれれば良かったのに」「言われたときにすぐやっていれば良かったよね」などと考えてしまって気持ちよく褒めてあげられないときがあるかもしれません。

そんなときはぐっと気持ちを抑えて、できたことを素直に「できたね!」と褒めてあげてください。

褒めるときは、にこやかな表情が役に立ちます。

相手の目を見ながら優しい目線で伝える際にも、少し屈んで同じ目線の高さにしてあげると一層効果があるかもしれません。

大きな声も必要ありません。子どもの近くまで行き、穏やかな口調で褒めてあげましょう。

③ 褒め言葉

褒め言葉には様々なものがあります。

「できたね」「すごいね」「えらいね」「さすがだね」「素敵だね」「いいね」「すばらしい」「賢いね」「上手だね」「かっこいいね」「優しい」など、たくさんの褒め言葉がありますので、褒める際に子どもに伝えてあげてください。

できればいつも同じ言葉ではなく、いくつかバリエーションがあると良いでしょう。

バリエーションを考えるのが難しいときは、子どもの行動をそのまま言葉にして伝えるのがおすすめです。

大人から見て子どもの行動が望ましい行動だったときや良いなと思ったとき、すぐにお母さんの言う通りにできたときなどに、「あいさつできたね」「お返事したね」「靴脱げたね」「服着れたね」「座っているね」「ピーマン食べたね」のように子どもがした行動をそのまま言葉にしてあげます。

もちろん、伝える際には「② 褒めるときの表情・姿勢」で伝えます。すると、行動をそのまま言葉にしているだけなのに、子どもからすると自分がしたことが褒められているように感じます。

以上のように、行動をそのまま短く言葉にする方法も効果的ですが、感謝の言葉を伝えることも効果的な褒める方法です。

何かを手伝ってくれたときや、子どもの行動によって「助かった」「嬉しかった」と感じた際には「ありがとう」「助かったよ」と伝えましょう。

感謝の言葉は、子どもや大人関係なく誰もが言われて嬉しい言葉です。

褒め言葉としても大きなパワーを持っています。ぜひ、子どもにも「ありがとう」の一言を言ってあげてください。

④ 1割ルール

「1割ルール」は、褒めるタイミングについてのお話です。

子どもが望ましい行動に取りかかる様子が目に入ったら、すかさず言葉にして伝えましょう。

これが1割ルールの極意になります。

例えば、「もうすぐご飯だからおもちゃを片付けて」と伝えた際に、おもちゃを手に持っていくつか片付けたけれど、途中でまた遊び始めてしまったような場面を想像してください。

多くの人は、おもちゃを全部片付けられたときが「片付けられたね!えらいね!」と褒めるタイミングだと思うかも知れません。

しかし、1割ルールの場合は、「おもちゃを片付けて」と伝えた際に、片付けようとしておもちゃを手に持ったタイミングが褒めるタイミングになります。

望ましい行動や好ましい行動をまさに始めようとしたタイミングで褒めるのです。

おもちゃを全部片付けることを考えた場合、おもちゃを片付けようとして1つのおもちゃを手に取ることはたった1割しかできていないことかもしれません。

ですが、そのタイミングで褒められると子どもは嬉しくなって、そのまま最後まで片付けをしてくれることがあります。

「① 本心から褒める」でお話したように、子どもが成功感や達成感を感じているときに「できたね」と伝えてあげることも大切です。

つまり、褒めるタイミングは、「望ましい行動に取りかかるとき」と「望ましい行動が最後までできたとき・達成できたとき」の大きく2つになります

「おもちゃを片付けなさい」と言われてすぐに片付けを始めたときや、途中までは片付けることができたといった過程にも目を向けて褒めてあげましょう。

⑤ 毎回見逃さない

子どもが同じ望ましい行動をしたとしても、褒められるときもあれば褒められないときもあるということになると、褒めることの効き目が薄くなってしまいます。

子どもが望ましい行動をしたときには、毎回必ず褒めましょう。

毎回が難しいようであれば、できるだけ見逃さないようにして褒めてあげてください。

子どもがその望ましい行動を確実に身につけるまでは、極力毎回褒めてください。

確実にできるようになった、その望ましい行動が当たり前にできるようになったら、褒める回数を3回に1回、5回に1回というように少しずつ減らしていっても大丈夫です。

⑥ すぐ褒める

褒めるうえで大切なポイントは、「即時」です。

子どもが望ましい行動をしたら、すぐに褒めます。

間を空けずにすぐに褒めることで、子どもは「褒められる直前にしていた行動が良かったのだな」と理解しやすくなります。

子どもは、自分が褒められた行動を今後も行うことが増えていくでしょう。

すぐに褒めるということは、まさしく「すぐ」です。

望ましい行動に取りかかろうとした直後、望ましい行動を達成できた直後にすかさず褒めます。

目安として、「すぐ」というのは60秒以内だと考えてください。60秒を過ぎると、小さい子どもほど自分が何について褒められているのかわからなくなってしまいます。

⑦ 間接的に褒める

間接的に褒める方法は、お母さんからお父さんや先生に対して子どものできたこと・良かったことを報告し、それを聞いたお父さんや先生から「そうだったんだ!すごいね!」と褒めてもらう方法です。

この方法は、「⑥ すぐに褒める」でお話した望ましい行動の直後(60秒以内)に褒めるルールを満たしていないため、そこまで大きな効果があるわけではありません。

しかし、自分のしたことがお母さんからだけでなく、他の人たちからも「すごいね!」と言われることは自信に繋がりますし、何より子どもにとって嬉しいことでしょう。

60秒以内に褒めることは一番身近にいるお母さんや担任の先生が行い、間接的に褒める方法も併用して周囲の大人から褒められることが理想的ですね。

⑧ スモールステップに分けてできたことを褒める

スモールステップに分けて褒めるとは、まずは簡単なところを目標として設定し、子どもがその目標を達成できたら褒めるという方法です。

この目標は、少しずつ難しいものにしていくことが一般的です。

スモールステップという言葉は普段の生活でもよく耳にするように、色々な場面で使われています。

例えば、泳ぐことを目標とした場合、一番最初に簡単な目標として設定されるのは「水に触れること」でしょう。

水に問題なく触れるようであれば、次に設定される目標は「水に入ること」でしょう。

水に入ることができたら、次の目標は「顔を水につけること」になります。

以上のように、達成のハードルが低いところから目標を設定し、段々と目標の基準を上げていく方法がスモールステップです。

子どもの行動の場合でも、様々な場面でスモールステップの考え方が重要になります。

例えば、パジャマから服に着替えることを考えた場合、最終的には自分で着替えられるようになってほしいですが、まず最初に設定する目標は「パジャマを脱ぐ」ことかもしれません。

もっと細かく考えて、「パジャマの上だけを脱ぐ」でも良いでしょう。そして、できたら当然褒めます。

目標を達成できたことを伝え(例えば、「パジャマ自分で脱げたね!」)、後はお母さんや周囲の大人がやってあげて構いません。

パジャマを脱ぐことを自分でほぼできるようになったら、目標の基準を少しだけ上げます。

次の目標を「パンツを履く」にしたとすると、パジャマを脱いでパンツを履けたら褒め、その後の着替えはお母さんがやってあげます。

このように、少しずつ自分でできる範囲を増やしていく際にもスモールステップは使いやすいです。

スモールステップで褒めることは、「④ 1割ルール」に近いものがあります。最終的な目標を達成できたときにだけ褒めるのではなく、そこに至るまでの過程も褒めることが似ていますよね。

⑨ 一番効き目のあるごほうびを探す

これまでに何度も「褒める」という言葉を使ってきました。

この記事のタイトルも褒め方10カ条となっていますが、褒めただけでは効き目がない場合もあります。

例えば、生まれたばかりの子どもには、褒めたところで意味がありません。言葉の理解がまだ難しいからです。

また、小さい子どもであればお菓子やジュースのようなごほうびが必要になる場合もあります。

子どもが少し大きくなると、絵本を読んであげる、好きなテレビを見せる、遊びに連れて行くなど、食べ物や飲み物以外のものが効果的なごほうびになっていきます。

さらに子どもが大きくなると、「抱きしめる」「ほおずり」「よくできたね!」「えらかったね!」などの褒め方が効果を持つようになります。

褒め言葉そのものがごほうびである場合もありますが、最初から褒め言葉が効果的なわけでないので、その際は子どもが満足するようなごほうびを与えなければいけません。

しかし、お菓子やジュース、おもちゃなどのようなごほうびを渡す場合であっても、必ず「よくできたね!」「えらかったね!」などの言葉を伝えてからごほうびを渡してください

無言でお菓子をあげるお母さんはいないと思います。

笑顔で褒め言葉を伝えた後にごほうびを渡すことで、次第にごほうびと同等の効果を「よくできたね!」などの褒め言葉が持つようになります。

ごほうびとして、一般的に用いられるものは以下の通りです。参考にしてください。

注意してほしいこととして、子どもが大きくなったり、褒め言葉とごほうびを一緒にしていれば必ず褒め言葉が子どもにとってのご褒美になるとは限りません。

大人になってもチョコが大好きで、自分へのごほうびとしてチョコを買う人はたくさんいます。

大事なのは、今目の前にいる子どもにとって一番効き目のあるごほうびを探してあげることです

子どもを褒める際のごほうびについて解説している。応用行動分析学においては、強化子とも呼ばれる。強化子には、食べ物や飲み物、もの、機会、他者との関わりなどが含まれる。

⑩ 褒めることの逆効果

褒めたのに、逆に子どもが怒ってしまったり、効果が期待できない場合があります。

それは、「できて当然のことを褒めたとき」「比較が交じる褒め言葉を使ったとき」「皮肉だと受け取られる褒め言葉を使ったとき」です。

「できて当然のことを褒めたとき」というのは、そのままの意味です。

「挨拶できたね」が褒め言葉として伝わるのは、小学校の中学年くらいまででしょう。中学生や高校生に「挨拶できたね」と伝えても「ばかにしてるのか」と受け取られてしまうかもしれません。

一方で、小学校の低学年くらいまでは、もうできていて当然のことであっても褒め言葉として伝えても大丈夫でしょう。「⑤ 毎回見逃さない」を思い出してくださいね。

「比較が交じる褒め言葉を使ったとき」というのは、「さすがお兄ちゃん!」「お姉ちゃんは違うね!」などの褒め言葉です。

いずれも兄や姉としての行動が本人の本来の希望と違う場合(例えば、本当は譲りたくないけれど無理をして弟や妹に譲ってあげている場合など)には、褒められたとしても素直に喜ぶことはできません。比較が含まれる言葉は使わない方が良いでしょう。

「皮肉だと受け取られる褒め言葉を使ったとき」というのは、典型的なものとしては「やればできるじゃん!」といった言葉です。

「やればできる」=「いつもはやらないよね」といった意味に受け取られる可能性があります。

褒める際には以上の3点に注意して、短い言葉で素直な気持ち伝えてあげてください。

まとめ│役立つ褒め方10カ条

  • 本心から褒める
  • 褒めるときの表情・姿勢
  • 褒め言葉
  • 1割ルール
  • 毎回見逃さない
  • すぐ褒める
  • 間接的に褒める
  • スモールステップに分けてできたことを褒める
  • 一番効き目のあるごほうびを探す
  • 褒めることの逆効果

褒める際に大切なポイントを10個ご紹介しました。

しかし、いきなり全部を実践するというのはとても難しいので、最初は「1割ルールからやってみよう」とか「子どもの行動をそのまま言葉にするだけならできそうかな」と無理のない範囲で実践してみてください。

お母さんや周囲の大人たちが褒める達人になっていることを楽しみにしています。

あとがき

子どもの褒め方10カ条は、ずっと書きたいと考えていた内容でした。

褒めるだけで子育ての全てがうまくいくわけではありませんが、褒め方が上手だと7~8割は良い子育てだといえるでしょう。

今後も褒め方について掘り下げていく予定ですが、叱り方についてもまとめ記事を書く予定です。

お楽しみに!

参考文献

上野 良樹・金沢こども医療福祉センター・作業療法チーム (2021). 発達障害の早期療育とペアレント・トレーニング―親も保育士も、いつでもはじめられる・すぐに使える― ぶどう社
山上 敏子 (1998). お母さんの学習塾―発達障害児を育てる人のための親訓練プログラム― 二瓶社
山口 薫 (2010). 発達の気がかりな子どもの上手なほめ方しかり方―応用行動分析学で学ぶ子育てのコツ― 学研教育出版
横山 浩之 (2014). マンガでわかる魔法のほめかたPT―叱らずに子どもを変える最強メソッド― 小学館

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